うなぎの蒲焼、「関東風」「関西風」について
コラム
お好み焼きには「広島風」がありますが、うなぎの蒲焼は関東風と関西風が主流です。「同じ蒲焼でも、もはや別の料理」とも言われるその2つの調理法の主な違いは下記の通りです。
うなぎの蒲焼の関東風と関西風の違い
調理工程
関東風
関西風
1.捌き方
背開き
腹開き
2.うなぎの頭
落とす
残す
3.焼き方
焼いて蒸す
焼きのみ
4.串の種類
竹串
金串
5.タレ
さっぱり
甘めで濃い
1.捌き方
関東ではうなぎは背から開き、関西では腹から開きます。これには諸説ありますが、うなぎの蒲焼が流行し始めた頃の関東(江戸)は武家社会でお侍さんが多く、腹から開くのは「切腹」を連想させて縁起が悪いとされたため、背開きになったと言われています。
一方関西では商人文化が強く、「腹を割って話をする」「腹の内を見せる」ことは良いこととされ、腹開きが主流になったとされています。
2.うなぎの頭
関東ではうなぎの頭は落とし、関西では頭を残した状態で調理をします。これは単純にうなぎの捌き方に所以することですが、うなぎを背開きにする場合、うなぎの頭が邪魔になるので落とした方が効率がよくなります。逆に腹開きでは頭が邪魔にならないので落とす必要がありません。
よって、背開きの関東では頭を落とし、腹開きの関西では残すようになっています。
「腹を開く(切腹)」はダメで「背を開くために頭を落とす(斬首)」のはいいんかい!と当時の江戸っ子にツッコミを入れたくなりますが、切腹に対する当時の文化ならではの感情がそこにあったんだと思います。
また、関東ではうなぎの頭は基本的に食べませんが、関西では昔からうなぎの頭を「半助(はんすけ)」と呼び、よく焼いて食べたり、出汁をとるために利用したりします。
3.焼き方
関東と関西の蒲焼の決定的な違いはこの焼き方です。関東では白焼き(素焼き)にしたうなぎを蒸し、タレを付けて再び焼いて仕上げます。関西では蒸す工程がなく、最初から最後まで焼いて仕上げます。
この違いにも諸説ありますが、一番有名なのが関東(江戸っ子)はせっかちな人が多く、焼きのみだと注文を受けてからうなぎを提供するまでに時間がかかるため、焼いて蒸した状態で置いておき、注文が入ってからタレを付けて再び焼いて仕上げることで提供効率を上げたと言われています。
逆に関西では商人(あきんど)たちが食事の場でじっくりと商談をするため、注文から提供までに時間のかかる焼きのみの調理法が主流となったと言われています。うなぎ職人の世界には「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」という格言がありますが、この中に「蒸し」がないので、この格言は関西で生まれたものなのかもしれません。
関東のうなぎの蒲焼は「トロふわ」で、関西の蒲焼は「カリふわ」なのは、この焼き方の違いがあるからです。
ちなみに、関西に近い広島県に店を構えているうなぎ屋・夕凪うなぎの蒲焼ですが、関西風ではなく、関東風の「トロふわ」の蒲焼です。口の中でふわふわトロける食感をお楽しみください。
4.串の種類
関東で使用されている串は「竹串」で、関西は「金串」です。これは上記で述べた「焼き方」に所以するもので、関東では焼きの途中で蒸す工程を挟むため、串が燃え尽きてしまうことが少ないので竹串が使われています。「串が燃えるほど焼くのは焼きすぎ、火が強すぎ、火に近すぎ」といった目安にもなるため、あえて竹串を使っているとも言われています。
逆に焼きのみで仕上げる関西では、長時間じっくりとうなぎを焼き続けても燃えることがない金串が使われています。
5.タレ
関東のタレは甘さや濃さが抑えめでさらっとあっさりしているものが主流です。それは関東独自の「蒸し」の工程でうなぎの脂が適度に落ちているため、さっぱりとしたタレがよく合うからです。一方関西のタレは、うなぎの脂にも負けない甘く重厚感のあるこってりとしたタレが主流となっています。
関西を甘口と表現するなら、関東は辛口(塩味、醤油の強さ)と言えるでしょう。
近年ではうなぎの白焼き(素焼き)を塩やわさび醤油で食べられることも多くなっていますが、うなぎと言えばやっぱり蒲焼。
お店独自のタレを付けて香ばしく焼いたふわトロの蒲焼で、是非とも白飯をかき込んでいただきたいです。
名物「1本うな重」では厳選したニホンウナギをまるごと1本ご提供
夕凪うなぎの名物「1本うな重」はその名の通り、約30cmの肉厚なニホンウナギを1本まるごとご提供しています。焼き方は、こちらのコラムでもご紹介した「焼いて、蒸して、焼く」といった関東地方で用いられる調理法で、しっかり蒸すことで余分が脂が落ち、1本まるごとでも最後まで飽きずに美味しくお召し上がりいただくことができます。
うなぎのタレには、広島県の離島・大崎上島にある「岡本醤油醸造場」の醤油を使用。二年間熟成させることで生まれる芳醇な香りと強い旨味を持つ醤油はうなぎとよく合います。そして、こだわりのお米には地元広島で育てられた「あきさかり」。適度な粘りと甘味を持つお米なので、うなぎの味を邪魔することなくタレとよく絡みます。
素材や産地にこだわったうな重をリーズナブルな価格でご提供できるのが夕凪うなぎの強みです。広島を始め、全国各地の日本酒も取り揃えておりますのでぜひうなぎと一緒にお楽しみください。
うなぎのお持ち帰り/テイクアウトも承っております。